山田風太郎さんの「幻燈辻馬車」を読みました。自由民権運動が起きている明治15年が舞台です。 西南戦争で息子を亡くした元会津藩士干潟千兵衛が孫お雛と一緒に辻馬車稼業をしながら、亡き妻の仇とお雛の母親を探す話です。そんな二人の辻馬車に乗せた客をき…
山田風太郎さんの「警視庁草紙」を読みました。西南戦争前の明治時代を舞台にした連作短編小説です。 本作はミステリー小説にジャンル分けされそうですが、忍法帖シリーズのようにいかに相手を出し抜くかを楽しむ小説だと思いました。 元町奉行の隅老齋と旧…
岡嶋二人さんの「そして扉が閉ざされた」を読みました。 睡眠薬で眠らされ地下の核シェルターらしき場所に閉じ込められた男女4人が過去の事件の真相を推理する話です。 ページ数と内容がちょうど良く。ロジックや伏線が丁寧で意外な真相もあり間違いなく傑作…
山田風太郎さんの「妖異金瓶梅」を読みました。中国の四大奇書「金瓶梅」をモチーフにした短編ミステリ集です。 ・1950年代に刊行された小説・中国の古典が舞台・栄の時代の好色漢と、その妻と七人の妾に関わる怪事件・エログロ要素がある・レジに持って行き…
本作「人形はなぜ殺される」は「りら荘殺人事件」「獄門島」と並ぶ日本古典推理小説の名作という噂に間違いのない傑作でした。「顔のない死体」「見立て」「アリバイ」等、様々な要素のある推理小説です。 「日本三大名探偵」の一人である神津恭介の推理小説…
アガサ・クリスティー著「ねじれた家」を読みました。とある有名作 伏せ字「 Yの悲劇 」に似ていると聞き、その作品を最近になって読んだので、本作を読んでみました。 資産家が被害者ですが、家族で遺産相続で揉めてるようでもない。また人柄も良く強く恨ま…
知念実希人さん著の「硝子の塔の殺人」を読みました。「館シリーズ」リスペクトな作品で面白そうだったので手を伸ばしました。感想を先に述べると、読んでいる時のリーダビリティは凄かったのですが、オマージュとメタミステリが強すぎて「他人のふんどし」…
西村京太郎さん著の「殺しの双曲線」を読みました。アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」に挑戦した名作と聞いたため手を伸ばしたのがきっかけです。クローズド・サークルの小説は多数あっても、本作のようなクローズド・サークルで「そして誰…
青崎有吾さん著の「早朝始発の殺風景」を読みました。 高校生が主役の日常の謎系短編集です。読み終わった後に気づいたのですがエピローグ以外は密室でやり取りしたいたようです。 「早朝始発の殺風景」始発電車に乗った男子高校生が、女子のクラスメイトと…
『満潮に乗って』アガサ・クリスティー著を読みました。「亡き大富豪の遺産を独占する未亡人」「未亡人に遺産を独占され頼らざるをえない故大富豪の親戚」「登場人物の三角関係」「未亡人の過去を知る男の登場」「第2次世界対戦の影響」と横溝正史さんの『犬…
相沢沙呼さん著の「invert 城塚翡翠倒叙集」と「invertⅡ 覗き窓の死角」を読みました。2作とも倒叙ミステリです。前作「medium 霊媒探偵城塚翡翠 」はド派手に終わった小説だったため続編はどうなるのか期待と不安を抱きながら読みました。 invert 城塚翡翠…
青崎有吾さん著「体育館の殺人」を読みました。 第22回鮎川哲也賞の受賞作品です。受賞後に作者の青崎有吾さんは「平成のエラリー・クイーン」と呼ばれるようになったのも納得のクイーンっぽい丁寧な推理小説です。 本作の事件は、雨の中の体育館で、普段は…
青柳碧人さん著『むかしむかしあるところに、死体がありました。』を読みました。 表紙やタイトルでネタ感やトンデモ感が強く。 SNSで普段はミステリー小説を読まない方にも話題だったため「どんでん返しかな?」と先入観を持って読んだのですがしっかりした…
小林泰三さん著の『未来からの脱出』を読みました。 あらすじ ここは監獄だ。さあ、脱出ゲームを始めよう――。サブロウは森に囲まれた老人ホームらしき施設で、平穏な日々を送っていたが、自分は何者でいつ入所したのか、そもそもこの施設は何なのか、全く記…
『死との約束』アガサ・クリスティーを読みました。先に感想をネタバレ無しで述べます。アガサ・クリスティーはストーリーテラーとして優れており、比較的ボケーっと受け身で読んでいても楽しめる小説が多い印象でしたが本作『死との約束』は集中して読んで…
先日、感想記事を書いた相沢沙呼さんの『medium 霊媒探偵城塚翡翠 』に続き、同作者のマツリカ・シリーズ3作を読んだので感想を書きます。 現在『マツリカ・マジョルカ』『マツリカ・マハリタ』『マツリカ・マトリョシカ』の3作が出版されている所謂「日常の…
『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』を読みました。色々なミステリーランキングの上位を獲得した作品が文庫本として発売されたので読みました。 霊能力(霊媒)という特殊能力を持つ主人公の翡翠は犯人はわかるものの証拠能力に欠けるためもう一人の主人公の香月史…
市川憂人さんの3作目「グラスバードは還らない」を読みました。前の2作に劣らず面白く期待を裏切らない作品でした。 ほぼ同時進行の2つの事件、ガラス張りの迷宮での密室殺人は見立てのようなものはないですが「そして誰もいなくなった」風でもあり、崩壊す…
2021年のカドフェスの帯には「初毒はミステリ、二度目はホラー。」と書いてありホラー風のミステリーは結構あると思うですが逆はあまり聞かないと思い、手に取りました。 作中でも言及されていますが、「閉鎖的な住人」「入ったら祟りが起きる山」など横溝正…
H・P・ラヴクラフトの『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』を読みました。 いつかはラヴクラフトの作品を読んでみたいと思っていたのですが、東京創元社からは文庫サイズの全集が出版されているのですが、全集(1)の初版は1974年と月日が経っておりハード…
「闇に香る嘘」を読みました。 評判の良い作品なので読みましたが非常に面白い作品でした。 あらすじ 村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を…
『白昼の悪魔』アガサ・クリスティー著を読んだ。 本作の登場人物一覧では事件発生前から登場する人物の説明が「ジョリー・ロジャー・ホテルの滞在客」と一括りにされているため人物名が頭に入ってこない作品でした。 そのため私は普段あまりしない登場人物…
第26回鮎川哲也賞を受賞し当時から『そして誰もいなくなった』と『十角館の殺人』を彷彿させるクローズドサークルのミステリー小説と話題になった『ジェリーフィッシュは凍らない』 先月に文庫化されたため購入し夢中になって読むことができました。 個人…
ケン・ブレークは友人でもある幽霊屋敷「黒死荘」の当主ディーン・ハリディから信用できない心霊学者ダーワースに叔母、婚約者、知人が心酔してしまったため、「黒死荘」で一晩明かして、心霊学者達のインチキを暴いて欲しいと頼まれマスターズ警部と共に「…
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旧友の招きでスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズは、到着早早事件に巻き込まれた。屋敷の女主人が毒殺されたのだ。難事件調査に乗り出したのは、ヘイスティングズの親友で、ベルギーから亡命して間もない、エルキュール・ポアロだった。 クリスティーの作…