積読を消化したい。

絶版を恐れるあまり、積読ばかりが増えてしまったので読書のモチベーションを上げるために開設しました。読んだ小説の感想を書いていきます。

『体育館の殺人』青崎有吾 著 ネタバレなし

青崎有吾さん著「体育館の殺人」を読みました。

第22回鮎川哲也賞の受賞作品です。
受賞後に作者の青崎有吾さんは「平成のエラリー・クイーン」と呼ばれるようになったのも納得のクイーンっぽい丁寧な推理小説です。

本作の事件は、雨の中の体育館で、普段は降りていない幕の中という目撃者の限られた密室状態の中で起こります。そして体育館の男子トイレに残された黒い男性用の傘の謎を解き明かす話です。

ページの多くを関係者の取り調べや証拠品探しに割いていて、主人公といった主要人物以外の登場人物に関しては人間関係や心理描写は極力省いている印象です。
私はクイーンの小説はXの悲劇とYの悲劇、国名シリーズの最初の3作品を読んだ程度なので、語れるほどではないのですが、このあたりもクイーンみたいだなと思いました。

キャラが濃い人物は少ないのですが、探偵役の裏染天馬はいわゆるアニメヲタクで性格や態度が少し独特なため気になる方もいるらしいです。
しかし、思い返すと私の知っている探偵役は独特な絡みづらそうな方が多いのでそんなに気にならなかったです。
文章も平易でライトすぎないと思いす。

近年の推理小説と比べ、派手さはあまりありませんが、とにかく丁寧に書かれた推理小説だと思います。