『未来からの脱出』小林泰三 ネタバレなし感想
小林泰三さん著の『未来からの脱出』を読みました。
あらすじ
ここは監獄だ。
さあ、脱出ゲームを始めよう――。
サブロウは森に囲まれた老人ホームらしき施設で、平穏な日々を送っていたが、
自分は何者でいつ入所したのか、そもそもこの施設は何なのか、全く記憶がないことに気づく。
不審に思っていると、謎の「協力者」からのメッセージが見つかった。
「ここは監獄だ。逃げるためのヒントはあちこちにある。ピースを集めよ」
サブロウは情報収集担当のエリザ、戦略策定担当のドック、技術・メカ担当のミッチという仲間を集め、施設脱出計画を立ち上げるが……!?
想像を超える「未来」の真相に辿り着けるか?
楽園(サンクチュアリ)から逃れ、本物の自由を手に入れろ。
Amazonの単行本の商品ページより引用
購入時に脱出ゲームの本にちょっとハマっていたり、何十年ぶりにCUBEの1作目を見た自分は自然に手を伸びた小説です。
あらすじに『さあ、脱出ゲームを始めよう――』とありますが、「ゲーム」「ミステリー」の要素は少なかったです。
世界観を楽しむSFとディストピアの色が濃い作品でした。
舞台は老人ホームや病院のような施設でメインの登場人物達は自分がなぜ、どのようにこの施設にいるのかわからない状態です。
そんな中、主人公のサブロウは自室で誰かが残した暗号メモを見つけたところから話は進んでいきます。
全3章のうち1章でとりあえず脱走は成功します。
2章からは世界の真実が明かされていき、アンドロイドやAI、「ロボット三原則」といった単語が現れる。SF、ディストピアの要素が強くなっていきます。
色んな要素を詰め込んだ小説なため、掘り下げるとページ数が膨れて上下巻になっても良さそうですが、ページ数は300ページと少ないなかできれいにまとまっている小説だと思いました。