青柳碧人さん著『むかしむかしあるところに、死体がありました。』を読みました。
表紙やタイトルでネタ感やトンデモ感が強く。 SNSで普段はミステリー小説を読まない方にも話題だったため「どんでん返しかな?」と先入観を持って読んだのですがしっかりした短編推理小説でした。
本作は昔話という多くの方がなんとなく知っているという共通認識をゴリ押して無駄を省いて読みやすくなっていてよくできているなと思いました。
全5編。物語としての結末は後味が悪いともブラックユーモアとも捉えることができます。私はスッキリした後味にはなりませんでした。(推理のモヤモヤという意味ではないです。)
昔話をコント等でブラックにパロディにしたりツッコミをするのは漫画やコント等で見覚えがあり。陣内智則さんやバカリズムさんがやってそうですが、推理小説は珍しいのではないでしようか。 小林泰三さんの「アリス殺し」は現実と夢の中の童話の世界の行き来なので少し違ってこちらの作品はずっと昔話の世界が舞台のため説明もなく帰り道に鬼がでてきたり、あまり戸惑わずに助けた亀に連れられて竜宮城に行ったりします。
設定の解説や世界の謎を解き明かそうとしないためサクっと読めました。
「つるの倒叙がえし」と「絶海の鬼ヶ島」が本作の中でも秀逸だと思います。